捨てない暮らし研究所

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なぜ、ゼロウェイストな社会を目指すのか

なぜ、ゼロウェイストな社会(=ゴミという概念のない社会) を目指したいのか。目指そうと思っているのか。

目指す理想像は同じでも、その背景や動機は人によって少しずつ異なるのではないかと思います。

今回は「ゴミ育のすゝめ」なりにゼロウェイストな社会をつくりたい理由を掘り下げて考えてみました。

あくまでもいち意見としてとらえていただければと思いますが、少しでも共感してもらえる内容があればうれしいです。

また、ご自身のゼロウェイスト活動のモチベーションの源泉を振り返られるきっかけとなりましたら幸いです。

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目次

1.ゼロウェイストは目的ではなく手段

2.目指すのはみんながご機嫌に過ごせる社会

2-1.作り手や売り手が悲しまないこと

2-2.捨てることへの罪悪感からの解放

2-3.未来を生きる世代へ負債を残さない

3.ゼロウェイストな社会って実現可能なの?

4.まとめ

 

1.ゼロウェイストは目的ではなく手段

「ゼロウェイスト」とは限りなくゴミをゼロにすることを目指した活動のことを指しています。

暮らしの中でゴミがゼロになるってどういうメリットがあるんだろう?と思われる方は以下の記事を参考にされてみて下さい。

今回、誰のために・何のためにゴミを減らしたいのだろう?掘り下げて考えた結果、ゼロウェイストな社会の実現は「ゴミ育のすゝめ」にとって目的ではなく手段だということに改めて気付かされました。

ゴミを減らした時にどういう未来が待っているのか、現状のゴミに対してどんな課題を感じているのか、を分解していくと一つの視点に集約されます。

詳しい内容は、次章にまとめてみました。

 

2.目指すのはみんながご機嫌に過ごせる社会

ゼロウェイストな社会を目指したいという想いの根っこの部分はみんながご機嫌でいられること。

ゴミが発生することにより負の感情が生まれる場面を極力減らしたいという気持ちが活動の源泉です。

モノ は人の役に立つために生み出されるはずなのに、それらがいつしか不要品 (=ゴミ) となって人々を苦しめることに繋がっているのではないでしょうか。

負の感情が生まれる場面は大きく3つに分けられると考えています。

2-1.作り手や売り手が悲しまないこと

ゴミが出ることによって、作り手・売り手が悲しんでいる状況を多く見てきました。

最も身近に感じられるのは食品ロスの現場です。飲食店で働いたことのある方ならまだ食べられる食品を捨てざるを得ない現場に何度も遭遇されたことがあると思います。心を込めて作られた食品が捨てられる現場は、多くの働き手に精神的負担をかけているのではないかと思います。

また、近年注目されているファッションロスの現場についても、売れ残った在庫を廃棄せざるを得ない現状です。一回も袖を通さずに捨てられる服が日本国内だけでも1年間に約15億にのぼるとも言われています。

ファッションが好きでファッション業界で働く店員さんも、売れ残った服が廃棄される現実に向き合わざるを得ないのです。

食品ロスやファッションロスは一例ですが、同じような事象はいろんなモノに対しても生じているのではないでしょうか。

モノは人の役に立つために生み出されています。

一生懸命つくった"モノ"が一度も人の手に渡らぬまま捨てられてしまう現状は生産者や販売員さんにとってとても悲しいことですよね。

生産や販売の現場で出る廃棄をなくすことは、環境負荷だけでなく作り手・売り手の精神的負荷を減らすことにつながると考えています。

 

2-2.捨てることへの罪悪感からの解放

使い手側としても、まだ使えるモノを捨てることへの罪悪感を感じられることがあると思います。特に片付けが苦手という方に捨てられない人が多くいらっしゃるようです。

断捨離という言葉が定着し、「もったいない」「まだ使えるかも」と思ってしまうマインドを切り替えて「捨てる」ことを推奨する流れがあるように思います。

捨てることが平気な人がいる一方、なかなかモノを捨てられない、捨てることが苦痛という方も一定数いらっしゃいます。

本当に自分の心を押し殺してまでモノを捨てなければならないのでしょうか。

捨てられない自分を認めてあげることで、もっと生きやすくなるのではないでしょうか。

捨てること前提で大量生産されたモノが家の中に入ってきにくい環境をつくること、手放した先のモノの活用先があること、といったゼロウェイストな思考が広まれば、捨てられない人にとっては暮らしやすい世の中になるのではないかと思います。

例えば、保冷剤を例に挙げてみます。出口がないのにどんどん家の中に入ってきますよね。モノを捨てられないタイプの人はどんどん家の中に溜め込んでしまいがちです。

無印良品での回収のようにうまく出口設計がなされれば、捨てる罪悪感を軽減できます。

ゼロウェイスト思考は、もったいなくてモノがなかなか捨てられない人との親和性が高いと思っています。

2-3.未来を生きる世代へ負債を残さない

ここでいう未来とは、数年先、十数年先といったスパンの未来です。わたしたち自身や子ども、孫の世代が直面する問題といえます。捨てることが前提の今まで通りの生活を続けることで、未来のわたしたち自身が困ってしまうといえます。

未来への負債としては、主に3つの観点があるといえます。

①最終処分場の問題

②海洋プラスチックごみ問題

③資源の枯渇

①最終処分場の問題

環境省の調査によると、一般廃棄物の最終処分場の残余年数はあと21年、産業廃棄物の最終処分場の残余年数はあと17年とされています。

※環境省|令和3年版環・循環型社会・生物多様性白書

首都圏に限定すると、産業廃棄物埋立処分場の残余年数はさらに短いというデータもあるようです。

数〜十数年先に処分場がなくなるかもしれない現実は直視しなければなりません。

処分場を増設すればいいという考えもありますが、土地の確保や環境への影響、周辺住民の反対などから処分場を増やすことは簡単ではないようです。

また、このままゴミを最終的に埋めればいい、という発想のままでいくと、森や海などの豊かな自然がどんどんと失われていく結果となってしまいかねません。

②海洋プラスチックごみ問題

使い捨てプラスチック製品の普及に伴い、海洋プラスチックごみ問題も深刻化しています。

一年間に800万トンものプラスチックごみが海へ捨てられているとも推測されています。

また、世界経済フォーラムでは、2050年にプラスチックごみの量が海に生息する魚の重量を上回ってしまうというレポートも発表されています。

 

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図:世界経済フォーラムレポート 『The New Plastics Economy Rethinking the future of plastics』

このままの数でプラスチックゴミが排出され続けると釣りやダイビング・海水浴などが禁止されたり、魚料理が食べられないということにもなりかねません。

③資源の枯渇

世界中の人が日本人と同じ生活スタイルを行うためには、地球が約2.8個分の資源が必要という試算もあります。

世界中で人口が増え、経済が成長していけば、資源が枯渇することが考えられます。

このまま大量生産・大量消費のライフスタイルを継続していくことが適切かを考え、行動様式を変える時期にきているといえます。

 

3.ゼロウェイストな社会って実現可能なの?

現代の便利な生活を維持しながらゴミをゼロにすることなんて、無理じゃないの?というご意見もあるかと思います。

完全な100%は難しいかもしれませんが、今の日本にはリサイクル率を80%まで引き上げている自治体もあります。

モノを最後まで使い切るという考えは、江戸時代が模範になるのではないかと考えています。

江戸時代は急激な人口成長を日本国内の資源でまかなっていた時代です。

あらゆるものは最後まで使い切った上でさらにリサイクルされ、燃やした灰は畑の肥料にするなど、循環型社会の理想的な形として経済が回っていました。

現在の技術や生活水準の違いはあれども、江戸時代に学ぶことは多いにあるのではないでしょうか。

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。ゼロウェイストは個人レベルから世界規模の問題までを解決する手段だと考えています。

モノは人を幸せにするために生まれてきました。モノが増えすぎたことで不幸せになる人が出てきているといえます。

モノが人の暮らしを圧迫しないよう、モノの作り手・使い手であるわたしたちがコントロールしていかねばなりません。

ゴミのないゼロウェイストな社会は、モノと人との良好な関係が築かれた先にあると信じています。

 

 

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